「その海から」(11〜20)/たもつ
は終わる
15
水の自転車を引きずり
隣の家の人が
習い事をしに行く
光合成の真似をしたまま
僕が昨日から帰ってこない
16
渋谷も池袋も失った
品川の交差点
余白を残したまま
講堂は突っ伏していた
そしてそれからのこととして
人々の足音が
少し遅れてやってくる
17
宿泊棟の窓から
吏員が風船を投げた
はたしてあれは
誰の幸せだったろう
僕は時計のように
口を開けて立ってる
18
ホテルの前に男は立っていた
女が来て
男はホテルをポケットにしまった
一面のお花畑が現れた
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