「その海から」(11〜20)/たもつ
 

女はお花畑をバッグにしまった
一面、だけが後に残されて
二人は週末まで
ジャムを塗り続けた



19

壁から男が出てきた
男はその日
壁を直した

僕から男が出てきた
男はその日
柿のようなものを触った



20

青ヤギと赤ヤギが
白ヤギと黒ヤギの
噂をしていた

海は既に顎のところまで迫っていた

落ちていく日を見ながら
世界は美しいのかもしれない
と思った

明日も牧草の良い匂いが
嗅げる気がした


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