「その海から」(21〜30)/たもつ
 
プラスチックの何か
塊のようなものがあった
空には
虹以外のものがかかっていた



27

針葉樹林に雨
人々の労働は原型を留め
たしかに僕の手は
何かを働いていた
カウンターにライス
針葉樹林に雨
生きる、の発音が
うまくいかない



28

傘の柄に書いた名前が
消えかかっていたので
それならばいっそ
消して書き直そうと思って
実際に消してみると
簡単に消えた
それからもう一度書いた
季節とかそういう話ではなく
何かに期待してはいけない
いつもその言葉のとおりだった



29

なにもない、
があった

空か
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