君の街まで桜色のバスに乗って〜2004年秋〜/はじめ
彼女は意識が戻らないままだった
季節は夏を通り越して秋になっていた
生き物達は冬に備えて食料を蓄え
永い眠りに就く準備をしていた
僕は情緒不安定になっていた
彼女のことを思う度
君の声がますますひどく聞こえるようになってきた
病院には週に一度通うようになり
枯れ葉の絨毯に鶸茶色のバスのタイヤを潜り込ませ
ベンガラのトンネルをくぐって君の街へと向かう
病院からの帰り道 久しぶりに君の眠る丘へと向かう
キャメルの丘には冷たい潮風が吹いて僕はマフラーを締めた
春に持ってきた花束が墓の周りに植えられていて もう枯れていた
僕は目を閉じ両手を耳に当
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