君の街まで桜色のバスに乗って〜冬から春へ〜/はじめ
 

 君の声と彼女の声が僕の精神を悩まし破壊している
 
 ある夜君は僕の前に現れた
 「あなたならきっと私の街を出ても上手くやっていける。生きて」
 僕は目を疑った けど笑顔になって言った
 「春になったら会える?」
 「会える。希望を捨てないで。あなたには大きな未来があるの。私の分まで一生懸命生きたら必ず私に会えるわ」
 「約束する?」
 僕は涙を拭いた
「約束するわ。あなたと出逢ったいつかのように。さようなら」
 「さようなら」
 君は静かに背景に溶けるように消えていった
 
 僕の心は晴れ渡り 桜の咲き誇る君の街を離れることになった
 始発場からエンジンを勢いよく吹かし膨らんだバスが出る
 桜のトンネルを抜けるとき 僕は後ろを降り向いた
 君の街から新しい世界へ 桜色のバスに乗って
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