裏銀座/はらだまさる
 


底を歩いている。ずっと。君の手で死に至る太陽が捥ぎ取られて、チタンのカップに絞られる。登山地図を開いてコンパスを合わせながら、私はさっきから携帯ラジオのチューニングをしているが、彼女は石と、風しか捉えようとしない。「あたしが、何で歩いているのかわかる?」と俺に訊いてるみたいだ。全てがはっきりしている。空の青、白い雲と風。岩肌と、雪。きっと咽喉が渇いているのだろう。ここにいる誰もが乾燥して、かがやきに満ちている。年老いたピンク色のキリンが世界のように歩いて、歩いている。とても首が短いんだ。俺が声をかけると、彼女はバランスを失い、爆破され、崩れ落ちるビルのようにその場に倒れた。咄
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