熱射病/はらだまさる
 


                    チューシャは少女のようにはしゃいでいた。午後の陽射しが強いスジャータ村の大きな木の陰で、普段はサドゥなんかがルンギーとして愛用するオレンヂの布を大地に広げて、ぼくらは次の汽車に乗るまでのひと時を共に過ごした。チューシャの笑顔はジョアン・ミロの色彩のように鮮やかだ。日本人のような湿り気がないのかもしれない。冗談で自分の名前の由来を説明する際に本名の「将(まさる)」ではなく、地元の日吉大社にいる猿みたいに「神の猿」と書いてマサルと読むんだ、と言ってしまったせいもあって、スパニッシュの彼女はぼくのことをモンキーと呼んで慕ってくれた。Xusaと書いてチューシ
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