創書日和「清」 清廉の人/逢坂桜
 

「神の定めに従って、わたしはあなたを妻とします。
 今から後、
 幸いなときも災いのときも、
 豊かなときも貧しいときも、
 健康なときも病気のときも、
 あなたを愛し、あなたを敬い、あなたに仕え、
 あなたとともに生涯を送ります。
 今、これを約束します」

続く言葉を待つが、声は聴こえない。

「無理、無理です。できません」

白いドレスの女は、
白い花と針金のブーケを捨て、
背中を向けた。

神の前で、毛一筋の偽りもなく、足音が遠ざかる。

胸の白い花を捨て、罰を受けるべく歩き出す。

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