降り来る言葉 ?/
木立 悟
絶えず風が吹いている
雨の声がやってきて
はじまりの手からはじまりの手へ
確かに香る霧の枝を手渡している
生まれ得なかった子の羽が
冬の終わりに
戯れに
息を吹きかえす
晴れわたる空を見つめる左目に
別のことわりの花が咲いている
雲という名の音に向かって
光の棘にまみれた腕を
捧げるように差し伸べて
ひとりの朝の手のひらに
ひとりの蛾が生まれるのを見る
ただひとつの心の羽の日に
すべて異なる姿の羽の日に
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