降り来る言葉 ?/木立 悟
から一へ
無から無へ
無の前で微笑む有限へ
すべてのすがたを表すために
すがたのすべてを見ひらいて
一息一息のいびつさからも
黄金を持つものは生まれ出て
ただまばゆさを疎まれて
ひとり野の果てに追いやられても
見えない色を数えつづける
その手のひらとともにかがやいている
重なる指の間から
いま見えはじめた地図を染めて
夜から朝への器はかたむき
灯りの水は注がれてゆく
原のなかで見つけた手のひらに
すがた無く握り返す手のひらに
断たれた道をつなぐ手のひらに
自らを貶めることのない手のひらに
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