降り来る言葉 ?/木立 悟
天気雨が終わり
朝が降る
花の頭の魚が
光の首の鳥が
幾つもの頭の獣が
何匹も空へ昇ってゆく
海のなかのふたつの木
冬の終わりとはじまりのように
降りそそぐ朝のなかに立っている
霧は来る
濡れた道の上を過ぎ
午後の町を囲む山になってゆく
虹は来る
山すそが集まり 消えゆく場所
霧の下に立つひとりの子に向かって
虹は静かに落ちてゆく
空にはたくさんのはじまりが
見えかくれしながら連なっている
目を閉じても光は矢のように
どこまでもどこまでも飛んでゆく
虹が映り 頬を伝う
歌のはじまりがそこにある
空をゆくかたち
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