降り来る言葉 XX?/木立 悟
青銅の扉の
息に合わせて
風はふたつの挨拶をした
返事のないまま
なかへと消えた
粉の光
夜に沿い
まぶされてゆく
錆びた光
消える光
朝になり
窓になる前の窓の火を浴び
ゆらぎは階下へと流れてゆく
半ば溶けかけたかたまりの
半透明の流れたち
光は急がない
背よりも遅い
彼はひとりになりたかった
だがそれを許すものはいなかった
彼はひとりになるために
異なる場所へ行かなければならなかった
行っては戻り 行っては戻り
ある日
戻らなかった
木々の影が降っている
傷は緑でできている
こだまはときおりとどかない
遠くの
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