降り来る言葉 XXX/木立 悟
 



触れようとすると
指は変わる

漏れ聴く 光


見ているものは
既に違う

遅い 光


雨のはじまりを鳴く鳥に
枝はまぶしく満ちてゆく
羽と幹と音のはざまに
空は蒼く満ちてゆく


腕が腕を抱き
肩を抱き
指先ひとつの痛みへと
己れを抱くようにたどりつく


光を吐くもの
葉の光を吐くもの
血に導かれ
線の 波の 血に導かれ


落ちる前にとどろいて
飛沫は四つの空を貫く
痛みなく光なく焼けてゆく
どこまでも幼い火のかたち


横から横へ 宙から宙へ
夜の苦みと苦しみは降る
夜明けの水に浮かぶ諧謔

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