降り来る言葉 XXXIV/木立 悟
 



水に降る水
白を摘みとり
蒼を咲かせ
水に降る水
空から空へ
伝うまなざし
水に降る水
水に降る水


子の胸に
しっかりと抱かれた鏡から
にじみゆく色
ほどけ散る色
のぼり こぼれ
泣き追う指に くゆらせ
くゆらせ


菓子を陽から除ける仕草が
光の円に鳴りつづけている
手の甲に熱く染み込むかたち
やがて夕べを映すかたち
片目のさらに片隅に
うすい羽の塊があり
あちこちへあちこちへはばたいている


指が触れても 触れても 触れても
楽の器は指に満ちない
わからぬものに
器は満ちる
わからぬものに
楽はおりる


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