降り来る言葉 XXXV/木立 悟
雪どけ水の流れる静脈
光の片目を両手で包み
生れ落ちた日の鈍色を聴く
にじみのにじみ
花の洞の道
雪の粉の服
笑みの鳥の羽
ひびきがひびきを
見つめにきている
もっとたくさんのちがいを越えて
野と森と原はつながろうとする
波が波へ伝わりゆくさま
越えようとせずに越えてゆくさま
むらさきが轟き
午後のなかの夜
暗がりのなかの輪を照らす
しんと落ちる声がある
ささやきのはざま
染まることなく
波の時間に添う
水の記憶とかたちの記憶
激しく激しく
混じることなく重なりつづけ
浄夜の浄夜
光ながれて
闇をながさぬ光ながれて
[次のページ]
前 次 グループ"降り来る言葉"
編 削 Point(2)