降り来る言葉 XXXIV/木立 悟
 


木は金 金は木
響かぬ場所まで色は伝わる
音を信じぬものによって
手のひらを透り 点される火
そのなかに燃される歪みを聴く


冬の塵 冬の芥
異なるようで同じおまえが
夏の虫を裁くとき
おまえを映す水はなくなる
水は招かず
水は拒む


抱いても抱いても
羽は飛び去り
鏡に描かれた絵もまた飛び去る
くちうつしのうた 限られたうた
常に不確かなよろこびから
離れることのできぬうた


誰も触れずに器は鳴り
誰も触れずに楽を奏でる
つむるまぶたに満ちてはこぼれ
羽は裁きと足跡を埋め
子は鏡と鏡のはざまに立ち
分かれ飛び去るうたと火を見る













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