降り来る言葉 XXXVIII/木立 悟
 

足音たちの繁る蒼


雨の道のり
壁のまだら
映るものの散らばるかたわら
小さく声を呑みこむ水
ひとり 嵐を
呼びつづける木


冬が冬を縫い
祈り終わらず
ほつれ終わらず
喉はかわき
光は見すえる
向こう岸へ
馳せる水紋


とぎれとぎれ
言い訳と積み木
すがた失くそこに
揺れつづく揺れ
強く抱いても
やがて終わる揺れ
夜明けに燃され
よみがえる言葉
ほんの少しだけ
異なる言葉


誰が赦し
誰が埋める
風が撒く火か
風自身か
終わる夜の
終わらぬ冠
雨粒ほどの
建国の儀式


石の家
石の指先
雨音の
[次のページ]
   グループ"降り来る言葉"
   Point(1)