降り来る言葉  LII/木立 悟
 





ふるえに
ふるえに
こだまする
蜘蛛の巣のむこうの
景の断片
どこへでも どこへでも


句読点
華やかな
何も無さ
息つぎのまの
何も無さ


とどまらず進み
手のひらにはねかえる
さざめきやさざめきや
さざめきの 棘


終わるとたんにはじまるものらに差しのべられる
みどりがかった夜の器
瞳だけが壁を砕いて
帰る場所なく帰りゆく冬


鬼しかいなくなり
鬼ごっこは終わり
削る前の鉛筆を
真昼へ真昼へ真昼へと刺し
色や音や色を聴く


うたいなおし
濡れなおし
半分の午後
半分の遠まわり
水の地図 さ
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