降り来る言葉 LII/木立 悟
さあ
どこへでも
止まらぬものに
止まれと言うとき
歯車が腕に
刻まれゆくとき
それでも止まれと
鉱を吐くとき
夜の海へ曲がる路
照らす背は背を
知ることなく知る
渦を描く火の
色と熱を聴く
ひと息ひと息の独楽をまわし
街のとなりの 誰も居ぬ街
巨きな二本の 指の歩み
ただ見えなさを 浴びる歩み
歴史を疑い
すぎてゆくもの
都合よく残されたものを
燃やしゆくもの
夜はどこかへ
きかきかと鳴り
不確かな目盛りの傾きへ
すべてをすべてにと傾いてゆく
雨のひとつひとつを下り
櫛にとどまる光
梳きながら梳かれ
鏡に鏡を置いてゆく
鳥の影 鳥の火
たちのぼり たちのぼり
空の鳥の森となり
午後ふらせ 午後ふらせ さあ
どこへでも
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