降り来る言葉 LIV/木立 悟
草陰の首輪
青には小さい青の花
はみ出てはこぼれ
午後に集まる
六つの爪が
頭を光に傾ける
ひらき 突き立て
つかみ 揺さぶる
二本足の飛べない生きものを
荒地にとじるための歌
海に流れ
河口の灯をふりかえる
唯一から最期へのはざまに
腕ひろげ腕ひろげ
のど嗄らし 失い羽ひらき
腕ひろげ
鈍い光に流れ込む影
乱れつづける歩幅の歌を
跳び越える軌跡 跳び越える傷
宙に交わり 光り またたく
揺りかごを捨てれば
揺りかごは生まれる
ふりほどく手のひら
夜の手のひら
感覚の失い明るい場所に
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