降り来る言葉 LIV/木立 悟
所に
左腕を置いてきてしまった
斜めが斜めを照らす道
すべての滴が足跡の道
渇いた碧を囲む青
窓を潰した壁の跡
空は左目にわだかまる
真昼を見つめる歪みたち
蝙蝠が蜘蛛を埋める
建物の下
森の根元
ひとりの星は ひとり見に来る
羽を隠すには午後
だから出かけて
見えなくなった
自身が羽とは気付かぬままに
夜の氷が
夜をころがる
曇の下
軋む行方
光は燃え
光は落ちる
霧に紋を描き
地を眩ませる
ひとりの波
器を持ち
冬を指さす
富めるものの骨
見捨てられた蒼が
波に沿い 歩む
手の内の手や外の手が
花のように光を受ける
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