愛の技巧/佐々宝砂
 

異常な色彩と悪臭を放つあなた、
おぞましいあなた、

永遠に他者であり、
永遠に異形であり、
永遠に不可解であるあなた、

ミナスキュールの文字で綴る、
あなたへの告白は、
たぶん愛の言葉にはじまり、
愛を告げれば、
大地は死の冷気に覆われ、
男でも女でもない奪いさすらうものが、
原初の海からわきあがり咆哮し、
あなたが再臨する、

いやまだそれは先のこと。

よおぐ? そとほおと?
窓から聞こえる意味不明瞭な囁きに応えて、
へんてこに歪む夜空の果てに、
あたしの自我を、
ない・ある・ら・と放(ほう)って、
振り返れば、

冷凍庫から腐れ爛れた
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