「詩と言葉に関する覚え書き」 その1/ベンジャミン
 
『詩の言葉と、僕が知る限りの詩と言葉の境界について』


「わたくしという現象は・・・ そのとおりの心象スケッチです   巨大に明るい時間の集積のなかで・・・ 発見するかもしれません」(宮沢賢治詩集「春と修羅」序 より)

この、今まさに僕の手のなかにある一冊の詩集には、『昭和60年三月 三十六版』と書かれてある。そして、正確ではないにしろ、僕が読み始めてから十数年経ったこの一冊の詩集を僕はまだ読み終えていない。
今まで読んだどの詩集もそう。それが高名な作品集であれ、そうでなくとも、僕はまだ詩集というものを(あるいは一つの作品でさえ)読み終えたことがない。それくらい、詩は(あるいは詩の
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