「少年と星座盤」 (物語・・・短編)/ベンジャミン
 
その少年は、真昼の公園の真ん中で、手にした星座盤をくるくる回しながら、
「あれは確か、かに座の一部だから近寄ったら大きなはさみではさまれてしまうな」とか、「あれは確か、さそり座のしっぽのあたりだからきっと一撃でおしまいになってしまうだろう」などと呟いていました。

僕は、こんな真昼に星なんて見えるはずもないだろうにと不思議そうに眺めていたのですが、少年は「きっ」と空を見上げると、何かを確信したように歩き始めたので、僕はそのあとを気づかれないように追いかけてゆくことにしました。
すると少年は、やはり星座盤をくるくる回しながら、それと街の道路を見比べるようにして、ときおり「うんうん」とうなずい
[次のページ]
  グループ"散文集"
   Point(7)