髪長小町/蒸発王
られておりました
ええ
ひどい話です
それでも幼い頃から聡明な方でしたから
言葉を覚え
文字を覚え
色々なことは判っておりました
自分が見捨てられたことも 判っておいででした
5つになられた時
姫様はひどく思いつめた様子で
私に向き合い
母さまは厭だ
父上は嫌いだ
と
初めてご両親について話されたのです
何回も
何回も
同じ言葉を私に繰り返すうちに
小さな瞼から涙があふれだし
その瞬間
涙が流れるように
御髪が伸び始めたのです
御髪が伸びるのは
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