「宇宙犬ライカ」序文/佐々宝砂
 
酸素が充分でないことや、自分の播種が失敗する可能性を知っていたため、毒薬をも携えていたという文献がある(巻末注5)。ライカがトピアに到るまでの道のりは、非常に長く苦しいものであったろう。

「宇宙犬ライカ説」を否定する学者は、ライカが人間ではなく「宇宙犬」という人類以外の生物であったと主張する。しかし私はライカが人間でなかったとは考えない。我々の言語には「犬」という言葉が確かに存在するが、それは特定の生き物を指すものではなく、主に奴隷的な立場の人間や、卑屈な人間に対する蔑称として用いられる。おそらくライカは、何らかの原因で蔑視される女性であったのだ。

このことから、私は、我々の祖先がおそ
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