記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
けだった。
俺じゃなくてもよかったんだろうけど、俺がそこにいただけだよ。
わかってるって。ありがとう。

 そんなこんなで俺は板挟みだった。阿呆だな。
ただ嫉妬して欲しかった。舞子に嫉妬して欲しかった。
俺は何度か舞子とデートをする。
セックスもしない、ただ二人して町を歩いては何か喰ったり何か飲んだり。
たまに俺が煙草吸ったり、キスしたり。
祖師谷大蔵のたこ焼屋、マンションの隙間の公園、家の近くにあった公園、
キスを繰り返す。キスを繰り返す。

何時か舞子が俺に言った事がある。
「キス上手いのね。何で?」
俺は言った。
「わからないよ」
舞子は微笑んで言う。
「う
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