記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
「うそ。知ってるでしょ?」
俺は答えた。
「親父がキス魔だったらしいけど。遺伝かな」
ある日、もう梅雨だったろうか。
俺達はいつものように、成城学園駅前で待ち合わせていた。
(もしかしたら、祖師谷大蔵かもしれない)
そこから仙川に向かって歩いて、仙川から多摩川を目指す。
よく歩く散歩コース。
今日は、多摩川まで。
春にここに来た時には、彼女の膣に触れている。
確かに、、アップルパイに指を突っ込んだような感触だった。
ぬるぬるしてて、気持ちよかった。
それも雨の日だった。夜桜がキレイだった。
ともかく、俺達は雨の中を多摩川まで歩く事にした。
往路は何事も無く過
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