ヒューム「ベルグソンの芸術論」(2)/藤原 実
願っている。彼らは物をそのままとして見ることができない。あらゆる悪党はうすっぺらである。それは「夢」がないからだ。夢みることから彼らは締め出されているのである。
ろくでもないものだけが開発されて、「本来的なもの」は常にわれわれの手から逃れている。
われわれは技術的に物を見るのではなく、物そのものとして物を見る習慣を身につけねばならない。「視るということの本質的可能性を喚び起こすためには只根源的な哲学と偉大な詩の他にはない」(ハイデッカー)
(稲垣足穂「視る!」)
われわれがいったん意志を断滅したならば、人生はおぼろに淡い只の現象とのみ見えてくる筈
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