ヒューム「ベルグソンの芸術論」(4)/藤原 実
 
う一方で、鮎川は次のようにも言います。


「僕たちが書いてきた詩の暗さについては、十年も前から、いろいろな人に指摘されつづけてきた。だが、僕たちは誰から何と言われようと、自分達の詩を決定している要素、それがたとえば暗さというような言葉で安直に言われるものであっても、黙って受入れてきた」


「僕たちの投影の意味が暗く、いつも幻滅的であったということは僕たちの歴史や全生活が暗く、そしていつも幻滅的であったということである」


「僕等の詩は幻滅的な現代の風景を愛撫する。僕等の感受性は、欺かれ易い知性とは違って、現代の暗い都市を正しく心のうえに感じとる。」
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