ペイター「ルネサンス」(1)/藤原 実
『ルネサンス』の「序論」でペイターは「美は、人間の経験に付与される他のすべての性
質とおなじく相対的で、その定義は、抽象性を増すのに比例して無意味、無用となる」と
言う。そして「『対象をあるがままに見る』とは何によらず真の批評すべての目標である」
とし、さらに「対象をあるがままに見るための第一歩は、自分が受取った印象をあるがま
まに知り、それを識別し、はっきりと感得することである」とかれの印象主義の宣言をし
ている。
「対象をあるがままに見る」とはマシュー・アーノルドのコトバだそうだが、ペイターに
とってそれはどういうことだったのか。また「印象」とはいかなるものか ------。
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