ヒューム「ベルグソンの芸術論」(5)/藤原 実
その材料を個別の単位に---赤の女王の口吻を借りるなら「1たす1たす1」に---分解し、ノンセンス向きに変えるノンセンス詩人一流の骨法なのである」
「詩全体を支えるためにキャロル的な典型的枠組みが利用されている。トランプとチェスである。人間関係というおよそノンセンス的ならざる危険な代物に代えて、数字たちとゲームの指し手があるばかりなのだ。ノンセンスのルールが必要な条件をつくりだす---知性が主題から保つべき距離、材料の分解、融けあわないイメージのパターンの操作。ノンセンスと同じように高度に知的なこの周到きわまるシステムの世界の中に、潜在的には危険そのものであるはずの材料さえ取りこまれてしかるべく
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