ヒューム「ベルグソンの芸術論」(5)/藤原 実
 


しかし、それは「現代文明の危機」などというよりは、エリオットがアリスの世界に近づいたからなのだ、というのがシューエルの意見なのです。


「『荒地』はエリオット氏が醇乎たるノンセンスに一番近いところでした仕事であって、『アリス』作品に、実にこれのみに比べらるべきものである。彼は危険な要素---神話、愛、詩、過去の美---をテーマの中にもちこんでいるけれども、それらをコントロールするのにノンセンスの定石とも言える手法をいろいろ徴用している。
してみるとこの詩の有名な断片化(fragmentation)も、現代世界に対する嘆きと解さるべきものではなく、これこそその
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