ヒューム「ベルグソンの芸術論」(6)/藤原 実
 
版されたのは「天井桟敷」の旗揚げ前年の1966年、翻訳されたのはずっと後のことになりますから、そういう関係ではなかったと思いますが。

「天井桟敷」は海外では高い評価を受けながら日本では「アングラ」という風俗のひとつの現象としかみられず、長い間まともな演劇としての批評の対象にもならなかった、と聞きます。モダニズムのコトバの錬金術をそのまま舞台にもちこんだような寺山の演劇はハプニング的要素が強すぎたのでしょうし、素人ばかりを舞台に上げて好きなことを叫ばせるなど完成度を度外視したキャンプ的演出が高尚な演劇好きのひとたちによく思われなかったであろうことは想像がつきます。
そして演劇だけでなく詩の世
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