秋宵思/三州生桑
弄月無詩友
憂人惜暗香
秋宵如百歳
秋韻更千霜
月下詩情絶
星移大志荒
何時生一句
遮莫但醒狂
月を弄(もてあそ)べど詩友なし
憂人 暗香を惜しむ
秋宵 百歳の如し
秋韻 更に千霜
月下(くだ)りて詩情絶え
星移りて大志荒(すさ)ぶ
いづれの時か一句生ぜん
さもあらばあれ ただ醒めて狂ふのみ
秋の宵のもの思ひ
かうして月を愛でてゐても、詩を語り合ふ友はゐない
憂へる私は一人、闇に漂ふ花の香りをいとしく思ふ
秋の夜は、まるで百年たったのかと思はせる程長く
この秋の趣きは、千年後も変はらずに、哀れだらう
しかし、月が落ちてしまったから、詩情も失せたし
星がめぐるうちに、私の大志も荒んでしまった
いつになったら、美しい詩の一句を作れるのか?
何はともあれ、今はただ、酒も飲まずに狂ふだけだ
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