萩尾望都私論その5 私の赤い星1「母からの逃亡」/佐々宝砂
さて私は嬉しい。ようやく1970年代後半にたどりついて、今から『スター・レッド』(1978〜79)のことを話せるからだ。この時期の萩尾望都はどっぷりとSFの人になっていて、ブラッドベリの短編や、光瀬龍の長編『百億の昼と千億の夜』をマンガ化している。テーマの重さ暗さとは無関係に、好きでたまらないことをやっているみたいに楽しそうにマンガ化していると思うのは、私だけだろうか。私も基本的には好きなことしかやりたくない。だけど好きなことをやるってゆーの、実はなかなかたいへんなことなのだった。萩尾望都が好きにSFマンガを描けるようになるまで、どれだけたくさんの壁を破らねばならなかったか。社会的な立場の壁だけで
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