萩尾望都私論その5 私の赤い星1「母からの逃亡」/佐々宝砂
 
けでなく、自分自身の精神的な壁が強固に立ちはだかっていただろうに。

私がリアルタイムに萩尾望都を読み始めたのは、だいたいこの時代にあたる。1978年ころだ。当時10歳の私の家にはSFマガジンが創刊号からあって、ハヤカワのSFは青背も白背も銀背もあって、創元推理文庫はもとより創元ロマン全集まであって、それらを買ったのは私ではなく私の母親だったから、私はSFに全く不自由していなかった。SFを読みたければ、おかーさんの本棚を見ればそれで済んだ。私は少女マンガをほとんど読まなかった。私には無関係なもののような気がした。一方私は少年マンガとくに少年チャンピオン(当時『ブラック・ジャック』連載中)と少年
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