飛ぶ鳥を探す日/石瀬琳々
 
青いってくちにして街は海になる花びら泳ぐ彼方の岸を


まぶた濡らす緑雨は君に降りやまず海の果てに飛ぶ鳥を探す日


永遠に待ちぼうけです目を閉じて探して君の赤い夕焼け


いくたびか甦る夢窓向こう回遊してゆく紫陽花の雨


野の果てにさびしく燃える火、橙(だいだい)にワスレグサ咲き誰を忘れて


風の音それともあれは鳥の声海を思えば白い航跡


また秋に触れるさびしさ金色の穂を揺らしては風の旅人


銀笛は遠く流れて待合室おもいでだけの鳥籠を抱く


飛ぶ鳥をいくつ見送る季節かとまた群青の海になる日々






   グループ"薊道"
   Point(14)