夜明けのサティ/石瀬琳々
まなざしを夢に見るまで耳奥に遠い旋律夜明けのサティ
君だけを知っている記憶、冬風に燃える炎よいつか雪片
いつの日かめぐり来る日のグノシエンヌ海にピアノを置きざりにして
さすらいは窓を過ぎ行く頬杖の遠い汽笛を聞く夜昼の
雪の馬駆けてゆくごと抱きしめてジュトゥヴ君のうつくしい冬
いつまでも待っていると囁いた、木立のなかの静かなる月
まどろみの踊る爪先すべる指ジムノペディの春は近づく
雨音が叩く鍵盤胸にあそびやさしいことを独りかぞえる
おもいでに唇(くち)に含ます角砂糖誰も知らないノクチュルヌでも
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