小詩集【常夜灯】/千波 一也
 
れてゆくうたは
どれほど賢い
毒でしょう

毒に
あかるい
小鳥の群れが
毒をおそれる矢に
射られても
易しいことばが
かこうでしょう

やさしい話の表紙には
先のとがった
ハートを添えて
ささいな傷など憂えない
易しいこころを
つなげましょう





九、 金字塔


いつしか
まぼろしは
味方になりすまして
あらゆるひかりの
残酷さを
麻痺させて
しまう

綴られた文字の
内側も
外側も
しらないならば
しらないなりに
柔らかくなれる
硬くも
なれる

この手に
触れられない
すべての記憶の源を
敬う
[次のページ]
   グループ"【こころみ詩集】"
   Point(7)