5月の職員室/ピッピ
 
か、移住する何か、
が流れ落ちて行く。キラキラしていたのは、新任の教師。
それとも賞味期限の過ぎた。ほら、もう一ヶ月経っているから。
風。風が、吹いていた。その日も。その次の日も。
色褪せたプリントには、何も書いていなかった。
ただ、汚れみたいな黒インクが、日本語だった。
名前の欄…に、自分の名前。あとは空白。いや空黄。
紙ヒコーキの跡。飛ばせない跡。

高校時代に覚えたはずのプリントを、全部捨てた。
三月は終わった。もう高校生の自分は何処にもいない。
だけど。だけど、このプリントに染み付けた証、
自分が高校生で「あった」という印を、今はもう、要らない。
と思う。捨てる。
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