Love Boat/恋月 ぴの
真夏の夕陽に染まるさざなみは
あなたの肩越しに遠のいてゆくばかり
深めに倒したナヴィシートで
あなたの好きなラヴバラードに酔いしれて
日焼けしてしまった首筋に心地よくて
小さなため息をひとつだけ
あなたはさっきから黙りこくったまま
無造作に放りこんだサーフウエアからは
海の香りとあなたの臭いがする
やっぱし見られてしまったのかな
昼下がりのちょっとしたアヴァンチュール
(携帯電話の番号を聞かれたけど黙っていたよ
(ほんとうは教えたかったけどね
週末の湘南はやはり混んでいた
ひとときの楽しさは何時でも何かと引き換えで
のろのろ進む車列からは気だるさと
どうしようもなく
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