エフィメラ(或いは邂逅)/恋月 ぴの
 
たしは生まれたままの姿で
窓際のベッドに横たわり
鍵の入ったバッグをそっと抱きしめてあげる
満月の湿った舌先は心地よさを誘い
胎児みたいにわたしは丸くなってみる
トパーズ色した わたしの鍵
夢の正体はことばなんだと
あのひとは教えてくれた
背を伸ばしては鍵穴を覗き込み
両親の交わるかたちに魅せられて
幼い頃のわたしはそんな夢に耽っていた
その時を背中に感じて眼を覚ますと
肩甲骨辺りを張り裂けるような激痛が走り
鱗粉の煌めき鍵穴に残して
羽ばたいては わたしのからだ
満月の湿った舌先でゆらゆらららと舞う

   グループ"ラヴ・ジェニック"
   Point(27)