三華遠季節 ?/木立 悟
 



器の水と空気を揺らし
敗れたものの記を奏でる
青い氷の空と雲
青い氷の土地をゆく影
途切れたものをつなぐことなく
そのままのかたちで送りだす
自身で自身を選べるように


落ちた言葉
沈んだ言葉
かき消された命
既に根づいた種
もとめる場所を問うことも
想うことも
ゆるされないのか


叫びと土
とどろく原
鏡のなかの火
鉛の使の舞うところ
ひびきわたる煙


朏(みかづき)の群れのように巣のように
夜をはじく鉱の樹


土の下で土になれずにねむるものたちよ
たどり着けずに倒れたものたちよ
奪われたまなざしよ
棄てられた羽たちよ
いのちよ
ことばよ


雪の原を歩むものの手は熱く
草をしずくに変えるばかり
足跡のかたちの氷の上には
さまざまな色の空がひらめく
青は離れ
水仙へ向かい
統べることなく
群れを変えてゆく










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