三華遠・讃華音/木立 悟
光の粒は増えては落ちて
空の青に波紋をつくる
大きな花の季節を切り
空を開け
冬を散らし
登山者の凍えた耳に
言葉を残す
雲の奥の淡い砂の陽
ほどけては集まる鳥と魚
ひいては寄せる
ゆらめきとはばたき
海が空を見るところ
呼吸に霧が混じる頃
空が海を去るところ
光に座礁した船が
雲間にひろがる目のなかに在る
波に重なる同じ波
もうひとつの別の波
三つの音の花だけが
夜の内で夜を遠ざけ
わずかな空気の明暗を越え
浅瀬の景の輪に踊る
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