異形の詩歴書 高校編その4/佐々宝砂
 
何を言ってもムダ、ハタキではたいても注意しても怒ってもムダだ」と。

 まわりのみんなに呆れられて、しかし私は孤独ではなかった。私のようなタイプは別に珍しいタイプではなく、実は世の中のあちこちに棲息しているのであり、そして類は友を呼び、オタクは群れる。狭い世界にいるとひとりぼっちだが、多少なりとも広い世界に出れば、けっこうおともだち(笑)はいるのだ。要するに、他人の名義で本を借りまくるバカは私一人ではなく、私はそいつと友だちになった。彼女(以下Yと書く)とはじめて口をきいたときのことを、私ははっきり覚えている。とある昼休みのこと、私は、タニス・リーの『白馬の王子』を学校図書館で読んでいた。そう
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