異形の詩歴書 高校編その4/佐々宝砂
そうしたら、いきなり「中山星香!」と叫ぶハスキーボイスが背中に聞こえた。ええええ、『白馬の王子』のイラストは、マンガ家中山星香が描いていたんですよ。Yは、本も好きだがマンガも好きで、とりわけ中山星香が大好きだったもんだから、つい声に出してしまったというわけ。ああ、白馬の王子に中山星香とくるんだから、しみじみと少女趣味な出逢いだなあ。ま、ともあれ、人間、趣味を同じくする友を得ると強くなる。趣味全開で読みまくり、借りまくり、貸しまくり……楽しかったね。楽しかった。本の話ができるというだけでも、ひたすら楽しかった。
でも、Yは、文章を書くヒトではなかった。学校で二番目にたくさん本を読んでるのに(
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