異形の詩歴書 高校編その4/佐々宝砂
は読み切れない。それでも放課後また図書館に行き、図書委員の特権を濫用して、友人の名義で三冊借りる。それから本屋に寄り道して、足の裏が痛くなるまで立ち読みする。帰りのバスの中で、読みかけの本の残りを読み切る。家に帰って二冊読む。残る一冊は次の朝、バスの中でのお楽しみ。日々この繰り返しで、立ち読みを除いて、一日に最低五冊読む勘定。完璧にアホ。ここは呆れるべきところであって、感心するところではないので、間違えてはいけない。呆れて下さい。両親はもはや呆れきって、文句を言わなかった。級友も教師も呆れていた。本屋の親父さえ呆れていた。私が立ち読みしに行くと、本屋の親父の顔に哀愁が漂うのである、「こいつには何を
[次のページ]
前 次 グループ"異形の詩歴書"
編 削 Point(4)