血の物語/アンテ
 
まよった挙げ句
がっかりして家に帰り着き
貯め込んだ血が不良だったのだと結論づけた
そこでいっそう懸命に生きて
極限まで自己を高め
それでもまだ我慢してさらに登りつめて
その瞬間の血だけを採取し
劣化しないよう厳重に管理した
そのせいで膨大な時間がかかったが
なんとか全身を満たせるだけの血が貯まったので
今度こそはと
彼女は再び自分の血をすべて入れ替えた
前回の何倍も気持ちが高まったので
意気揚々と街へ出かけたが
様子や出来事は日常となにひとつ変わらず
人々はみな
彼女に関わろうとすらしなかった
行くあてもなく
彼女は行き着いた小さな橋の手すりにもたれて
いっ
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   グループ"喪失の物語"
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