上を向く手/陽向(2躯-30〜35)
 
性しかなくなっていた

トンネルを抜けると、下降気味に道が連なっていた、あたりは、海の近くらしい潮の香りが漂う、空腹に耐えられないような感覚になる

強さに未練がなくなり、頭がこんなに変だったのかと、自覚するにもまた大分時間がかかった強さはなんとなく、俺より強いのはいくらでもいる、人に喧嘩売るような気にもならんかったが知性の世界へ移行すると、私は、ほんとに未熟であった私の知性は赤ちゃんであったのだ、才能があるとか言う以前の問題だ

下降気味の道をしばらく走ったあと、車から降りた、そこには薄ぼんやりと、黄色や白、緑、色んな色が、散らばっていた、それに触れようと手を伸ばすと、手は上を向いていた。

手は上を向いている、という道の始まりであった。
   グループ"お真面目の詩集"
   Point(4)